伊勢崎市は、赤城山の南面に位置していています。火山灰が多く含まれた、水はけがよい土地のため、桑の生育に適していて、古くから養蚕が盛んになり、銘仙の産地として発展してきました。
1200年以上の歴史を持つ伊勢崎の織物は、江戸時代中期に伊勢崎縞・伊勢崎太織で銘仙の基礎が築かれました。明治から大正・昭和の初期にかけて、珍絣や併用絣などの「いせさき銘仙」の産地として、全国に知られるようになりました。
織物産業の全盛期には、いせさき銘仙の持つ質実さを評価され、当時の学習院長でもあった時の大将、乃木希典によって学校着として採用されました。
戦後、生活様式が着物から洋服に切り替わったため、織物業界は需要が激減し、いせさき銘仙も大打撃を受け衰退を余儀なくされてしまいました。
しかし、一本一本ていねいに織られたいせさき銘仙の良さは根強い人気に支えられ、昭和50年には伝統的工芸品「伊勢崎絣」として国の指定を受け、今に至っています。
最近では、反物以外でも贈答用や土産用などに最適なネクタイやテーブルクロス、絵かすり、のれんなど小物類も多く作られ、より身近ないせさきの伝統工芸品としても、受け継がれています。 |